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リハビリテーション部/作業療法部門

作業療法部門

 私たち作業療法士は、病気や事故などにより心身に障がいを負った方々に対して、可能な限りの機能回復を目指し訓練を行います。また、障がいが残ってしまった場合には、残された機能を最大限に活用し、身辺動作の獲得や家事動作、仕事への復帰を目標に訓練を行うことで、より良い生活が送れるように支援します。

Q:作業療法の対象は?

 整形外科疾患では、手・肘の外傷や手術後(骨折・腱損傷等)、肩関節疾患(肩関節周囲炎・腱板損傷等)、脊椎圧迫骨折や脊椎疾患、人工関節手術後、大腿骨近位部骨折などを対象としています。
 また、脳神経外科疾患(脳血管疾患・脳腫瘍等)、内科疾患(神経筋疾患・心疾患・呼吸器疾患・廃用症候群等)、外科疾患(乳癌手術後)の方々も対象としています。

Q:作業療法士は何人?

 28名の作業療法士が整形チーム、他科急性期チーム、回復期リハチームの3つに分かれて専門的な治療を行っています。

Q:作業療法はどんなことをするの?

 病気やけがなどで全身管理を必要とする急性期から症状や状態に合わせた機能改善の援助と日常生活自立への支援を行います。さらに、二次的な機能低下がおこらないよう予防的に訓練を行います。回復期においては、日常生活関連動作や家事・仕事における具体的な動作能力の再獲得のために、身体機能に応じた動作練習や環境整備、自助具の適応等の手段を用いて早期社会復帰を支援します。

具体的な当院の取り組みを紹介します

ハンドセラピィ

 当院は、手外科医と連携して手や肘の骨折、指の腱や神経の損傷をはじめとする外傷や、末梢神経障害、変形性関節症、炎症疾患など種々の手肘疾患に対してハンドセラピィ(手のリハビリテーション)を行なっています。
 ハンドセラピィでは、種々活動を用いた作業療法や運動療法、ADL/IADL訓練指導、温熱療法や超音波療法などの物理療法、熱可塑性素材を用いた装具療法(スプリント療法)を実施し、患者さんにとっての「使える手(useful hand)」の獲得を目指しています。
 スプリント療法は、組織の安静や保護を目的とした静的スプリント、関節拘縮や腱癒着の予防を目的とした動的スプリントなど多くの種類があり、手外科医の指示の下で作業療法士が採寸し、患者さんの手の状態に応じて採型しています。手術前または手術後早期からハンドセラピィを安全・適切に行ない、家庭や仕事へ早期に復帰できるよう支援をしています。

※詳細は健康コラム第27話「じっと手を見て考える~指についてのあれこれ~」をご参照ください。

手関節安静固定目的の静的スプリントの採型

PIP関節拘縮矯正目的の動的スプリント例

長母指屈筋腱修復術後の動的スプリント例

ニューロリハビリテーション

 ニューロリハビリテーションとは神経科学(ニューロサイエンス)のエビデンスを応用としたリハビリテーションを指します。近年の脳・神経科学の発展により、脳卒中などにより脳がダメージを受けても、集中的なリハビリにより脳機能の再編成が生じること(脳の可塑性)が分かっています。この脳の可塑性を効率的に誘導することで、動かしにくくなった手足の機能をできるだけ回復させ、その機能を日常生活に活かし、社会復帰を目指す概念や手続きがニューロリハビリテーションになります。
 当院では、効果が検証されているエビデンスレベルが高い方法を用いるために、日本だけでなく諸外国の脳卒中リハビリテーションのガイドラインで推奨されている方法を積極的に導入しています。
 以下に代表的なものを紹介します。

※詳細は健康コラム第50話「最新の脳・神経科学に基づくリハビリテーション」をご参照ください。

末梢神経電気刺激と課題指向型練習
 末梢神経電気刺激はIVESやMURO Solutionといった機器を用います。上下肢の機能改善を目的に実施します。従来から電気刺激法は行われてきましたが、手足を動かそうという運動意図の有無によらず筋肉を収縮させるものが一般的でした。近年では、手足を動かそうとした時に対象とする筋肉の動きを検知してその筋肉に電気を流すことで、意図した運動を実現してくれる随意運動介助型電気刺激装置が開発されています。
 当院でもこのような末梢神経電気刺激を併用した課題指向型練習などを行なっています。

IVESと課題指向型練習

末梢神経磁気刺激
 近年開発されたPathleaderという機械を導入しています。上下肢の機能改善を目的に実施しています。電気刺激と違い、電磁刺激は電極パッドを貼らずに実施可能であり、疼痛がなく刺激が可能です。パッドの貼り替え作業がなく、かつ衣服を着用したまま刺激ができるため、短時間で様々な刺激をすることが可能です。

Pathleaderを用いた上肢機能

乳がん術後の作業療法

 腫瘍摘出術後の上肢機能の改善を目的とした作業療法を実施し、速やかな自宅退院と早期職場復帰に繋げています。
また、リンパ浮腫が発生した場合は、専門のリンパ浮腫療法士が対応しています。

※詳細は健康コラム第45話「リンパ浮腫」をご参照ください。

乳がん手術後の上肢機能改善訓練の例

脳卒中による高次脳機能障害患者さんへの車運転に関する指導

軽度の脳卒中の場合でも、退院後の車の運転について机上での検査をもとに指導を実施しています。

脳卒中ドライバーのスクリーニング評価
(SDSA:Stroke Drivers' Screening Assessment Japanese Version)

呼吸器や循環器疾患への作業療法

 当院の作業療法士に3学会合同呼吸療法認定士が2名在籍し、医師の指示のもと呼吸リハビリテーションを実施しています。多職種と連携を取りながら、適切な運動負荷量や酸素濃度を設定します。安静時や運動時の酸素飽和度を適宜確認しながら、日常生活に関連する動作練習を実施します。また、退院時の酸素管理の方法や自主練習などの指導を行います。
 心臓リハビリテーションでは、急性心筋梗塞や心不全の患者さんの早期社会復帰や再発予防、更にはその後の生活の維持を目指して、患者教育・生活指導・運動療法などを行っています。

呼吸器疾患への生活指導

NICUリハビリテーション

呼吸器疾患への生活指導

 リハビリテーション部では、NICU・GCUにて小児科医師の指示のもと、ご家族の了解を得て、多職種と連携・協働し、NICU入院中から退院後もリハビリテーション(理学療法・作業療法・言語聴覚療法)を行っています。
 リハビリテーションの内容は、発達評価、ポジショニング、呼吸理学療法、哺乳評価・支援、家族支援など、赤ちゃん・ご家族に合わせてスタッフと連携しながら支援しています。
 赤ちゃんの退院後は、定期的に外来通院していただき、発達評価、療育支援などの発達フォローアップをしていきます。運動機能、生活能力、コミュニケーション能力向上のための支援、家庭療育指導を行っています。

リハビリテーション部 理学療法部門 言語聴覚部門 回復期リハビリテーション病棟