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健康コラム

第5話 妊娠(にんしん)と風疹(ふうしん)について

産婦人科  木原 香織 医師

風疹は、一般に小児期に感染するウィルスによる伝染病ですが、俗に"三日はしか"と呼ばれるように、その症状は比較的軽症です。しかし、妊婦さんがこれに感染した場合には、先天性風疹症候群と呼ばれる重い先天異常をひきおこすことがあります。

今回は、妊娠と風疹に関してお話ししたいと思います。

先天性風疹症候群は、妊娠の早期(特に妊娠16週未満)に風疹に初めて感染することにより起こる状態で、お腹の中の赤ちゃんに難聴や白内障、心臓疾患などを起こす可能性があるものです。このため過去の流行期には不本意な妊娠中絶を行った悲しい症例が多数存在しました。

風疹は一度ワクチンを打ったり、風疹にかかったりすることにより多くは再感染を起こしません。(はしかやおたふく風邪、水ぼうそうと同じです。)しかし、ワクチンを打たずに成人したり、または一度得た抵抗力が年齢とともに減弱することがあります。(再感染の場合には風疹症候群となる可能性はかなり少なくなりますが・・・)

妊娠を希望なさる女性は、念のために妊娠前に検査をして、抵抗力が無かったり、弱かったりする場合にはワクチン接種をすることをお勧めします。 また現在妊娠中の方でも、次のお子さんを希望なさる方は、分娩後に検査、ワクチン接種をしておいて次の妊娠に備える、ということが良いと思われます。家族間での感染も多いため、旦那さんや上のお子さんなどへの接種も可能な限りなさった方が良いでしょう。

風疹ワクチンは接種後、授乳をしても差し支え無く、普段通りの生活で構いません。ただし、妊娠中のワクチン接種はできません。(間違って接種しても赤ちゃんに異常がおきたという報告はこれまでありませんが・・・)また、接種後2ヶ月間は避妊が必要になりますので、接種の時期にも注意が必要です(生理中、またはその直後が最も適しています)。

すでに妊娠されている方は、新聞、テレビなどの報道で流行が予想される時は、人混みや子供さんの多い場所へ出かけることはなるべく避けるようにした方が良いでしょう。

また妊娠の初期に風疹感染が疑われた場合にも、すべての赤ちゃんが風疹症候群にかかるわけではありませんので、決して悲観的にならずに最寄りの産婦人科医に相談をしてみてください。

ご自分の健康と、これから産まれてくる赤ちゃんのために風疹感染への対策をお願いいたします。

木原 香織 医師

昭和33年生まれ
出身地  北海道
最終学歴 山形大学医学部卒業
職  歴 平成16年 済生会山形済生病院入職
資  格 日本産科婦人科学会専門医
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