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健康豆知識

大腸がんと大腸がん検診について

1.大腸がんの患者数は増えているの?

近年増加傾向にあるがんの一つに大腸がんがあります。
高脂肪・低食物繊維といった食生活の欧米化による影響が大きく、喫煙・飲酒・肥満・運動不足など様々な要因が指摘されています。
2019年1年間に日本で新たに大腸がんと診断された人数(罹患数)は男性約9万人、女性約7万人、合計約16万人でした。
日本人の死因で一番多い病気はがんで、その中でも大腸がんは臓器別の死亡者数で上位です。男性は肺がんに次いで第2位、女性は第1位となっており、年間約5万人以上が大腸がんで亡くなっています。

2.大腸がんは治りにくい病気なの?

そうではありません。早期の段階で発見できれば、高い確率で治すことができます。

なぜ大腸がん検診が必要なの?

大腸がんは進行するまでほとんど自覚症状がありません。症状がない早期の段階で大腸がんを発見するために、大腸がん検診を受けることがだいじです。
大腸がんの罹患数は40歳から増えていきますので、40歳を過ぎたら年に一度、大腸がん検診を受けてください。
(血便、腹痛、便の性状や回数の変化などの症状がある場合は、検診ではなく、すぐに医療機関を受診してください)

3.大腸がん検診の方法について

1)自費で検査する場合

①便潜血検査
便に血液が混じっているかを調べる検査です。目で見てもわからない程度のわずかな出血でも陽性(異常)となります。1回のみでは不確実なため、通常2日に分けて採便棒で便の表面をまんべんなく擦り取り、容器に入れて提出します。費用は1,000円程度です。

②大腸内視鏡検査
肛門から内視鏡を挿入して大腸粘膜を直接観察しますので、得られる情報量が非常に多いです。もしポリープなど病変が見つかった場合は、その場で組織を採取できます。検査前に大量の下剤(1.5L程度)で大腸をきれいにする必要があります。内視鏡挿入に伴ってある程度の痛みがあり、人によっては負担に感じる場合があります。費用は20,000円程度です。

③ 注腸造影検査
肛門に細い管を挿入し、大腸に造影剤(バリウム)と空気を入れてX線を用いて撮影する検査です。内視鏡挿入に伴う痛みがないので負担感は軽減されます。しかし頻回の体位変換を行っても、レントゲン撮影上、屈曲が強いために重なって描出されにくい部位の病変が見逃される可能性があると言われています。費用は4,000-5,000円程度です。

④大腸CT検査(CTコロノグラフィー)
大腸CT用の炭酸ガスを肛門より注入し、大腸を拡張させてCT撮影する検査です。内視鏡挿入に伴う苦痛がなく負担感は軽減されますが、仮に病変があっても組織採取はできません(改めて内視鏡検査が必要になります)。人間ドックなど健診での利用が期待されますが、検査施設や検査数に制限があり、普及にはもう少し時間がかかりそうです。費用は2~3万円です。

⑤腫瘍マーカー検査(血液検査)
消化器系がんの腫瘍マーカー(CEA, CA19-9など)で大腸がんのリスクを調べる検査です。血液検査だけで簡単ですが、確定診断ができる検査ではないので、他の検査とセットで行わなければ役に立ちません。オプション受診の場合、マーカーの数により数千円~1万円。

2)自治体の補助を利用する場合

補助対象は上記①便潜血検査です。自己負担額は無料~1,000円(各自治体にお問い合わせください)。

5.便潜血検査の結果が来たら、どうすればいいの?

1)がんの疑いなし(精密検査不要)と判定された場合

次回1年後のがん検診を受けてください。

2)がんの疑いあり(要精密検査)と判定された場合

必ず精密検査を受けてください。一般的に最初に行われる精密検査は大腸内視鏡検査です。下剤で大腸を空にした後に、内視鏡を挿入して直腸から盲腸までがんやポリープなどの病変の有無を確認します。

6.便潜血検査が陽性だったら大腸がんなの?

便潜血検査が陽性だった方から大腸がんが見つかる確率は約4%と言われています。また、がんではないけれども約70%にポリープ(大腸腺腫)が認められたという報告があります。大腸がんの発生には、粘膜にできた大腸腺腫が大きくなってその一部ががん化する場合と、粘膜から直接がんが発生する場合の2通りがあります。大腸がんの多くは前者によるものと考えられているため、がん化する可能性の高い大腸腺腫は内視鏡を用いて切除します。早い段階であれば、がんであっても内視鏡治療で治るものがあります。外科的手術が必要な場合でも、腹腔鏡手術など身体への負担が少ない治療によって、日常生活への影響を少なくすることが可能です。

7.まとめ

大腸がんは早期発見がだいじです。自覚症状がないうちに大腸がん検診を受けてください。