放射線部
放射線(エックス線・ガンマ線)を用いて、単純撮影・乳房撮影・骨密度測定・X線透視撮影・CT撮影・血管撮影・MRI撮影・核医学検査(体外計測:SPECT・PET/CT)などの診療を行う部門です。放射線治療は行っていません。主に放射線科医・診療放射線技師・看護師・臨床工学技士・臨床検査技師も含めてチームを作り、検査等にあたっています。また、医療において放射線が有効かつ安全に利用されるように放射線管理を行います。
当放射線部は技師長・副技師長1名・係長3名・主任2名・副主任4名・診療放射線技師12名・助手2名の総勢25名。16の装置と画像解析などの付随装置や県内初のPET/CTセンターを有し、質の高い画像の提供に努めるとともに被ばく低減に積極的に取り組んでおります。
主な放射線機器
デジタル一般撮影システム
胸部・腹部・腰椎・手・足等の撮影を行う装置です。
1回の撮影で両下肢全長や全脊椎の撮影が可能なため、効率よく短時間で撮影を行い、患者さんの負担が少なく撮影を行うことができます。
富士フイルムメディカル社製:CALNEO GL
全脊椎撮影画像
カセッテタイプのFPDを導入し、病棟で撮影した画像もすぐに確認することができます。
富士フイルムメディカル社製:CALNEO
画像提供:富士フイルムメディカル株式会社
デジタル乳房用X線撮影システム
マンモグラフィは乳癌の診断を目的として、乳房専用の装置を用いて検査を行います。視触診では発見できない小さな腫瘤や、石灰化を写し出すことが可能です。検査は病変を見やすくするために、乳房を圧迫した状態で撮影していきます。
2019年10月に富士フイルムメディカル社製のAMULET Innovalityシステムを導入しました。従来よりも約40%少ない線量で、以前よりも細かい石灰化を確認できる、高精細の画像を得ることが可能になりました。
当院では女性技師のみで対応しております。
富士フイルムメディカル社製:AMULET Innovality
微小石灰化像
画像提供:富士フイルムメディカル社
骨密度測定装置
骨粗鬆症は骨のカルシウム量が少なくなり、骨がもろくなる病気です。加齢や生活習慣などによって、骨の新陳代謝のバランスが崩れるために起こります。特に女性は閉経後に女性ホルモンが減少することで、骨粗鬆症になりやすいとされています。骨粗鬆症の初期段階は自覚症状もなく、骨折して初めて気付く場合も多くあります。
骨粗鬆症の診断には骨密度測定が行われます。腰椎や大腿骨で検査をします。色々な測定方法がありますが、当院では精度の高いDXA法を用いて検査を行っています。薄着のまま簡単に検査を行うことができます。腰痛や骨折の予防に早めに検査を受けましょう。
HOLOGIC社製:HORIZON A
全身用X線CT装置
64列マルチスライスX線CT装置
GE社製CT装置を2023年3月に導入しました。2種類のエネルギーの異なるX線を高速に切り替えて撮影することで、精度の高いDual Energy画像を提供できます。高心拍・不整脈のある症例でも心臓撮影が行えます(症例1)。骨折が分かりにくい症例に対してもDual Energy画像で診断が可能です(症例2)。
GE社製 Revolution Frontier
画像提供GEヘルスケア・ジャパン株式会社
全身用X線CT装置
64列(128スライス)マルチスライスX線CT装置
最新鋭のシーメンス社製CT装置を2017年1月に導入しました。2種類のエネルギーの異なるX線を同時に出すことができ、X線のエネルギーの違いを利用して、物質が何であるかを識別して画像化することができるようになりました。
体の中に金属が入っている方でもその影響を抑えた撮影を行えるので診断能の向上に役立っています(症例1)。胸部疾患、腹部疾患、頭部・腹部の血管に至るまで全身の検査を行なっています。
シーメンス社製 SOMATOM Definition Edge
症例1 体内金属の影響(影響部→)
①影響あり
②影響低減
体内金属による影響を抑えた撮影が可能です
症例2 全身血管
①全身血管VR像
②全身血管MIP像
③全身血管冠状断面像
短い息止め時間で全身の撮影が可能です
画像提供:シーメンスヘルスケア株式会社
デジタル血管撮影装置
当院の血管撮影室には、検査に合わせた専用装置が2台設置されております。
デジタル頭腹部血管X線撮影システム
血管撮影とは、X線透視像や血管造影像を観察しながらカテーテルと呼ばれる細い管を血管に挿入し、目的の疾患を検査・治療を行なう事をいいます。詰まった血管を広げたり、出血した血管を詰めて止血を行ったり、腫瘍を死滅させるなどのIVR治療も行っています。
2021年3月に装置が更新され、デジタル画像処理技術が刷新されたことにより、約40%の被ばく低減、更なる高画質での検査が可能となりました。
画像提供:キヤノンメディカルシステムズ社
キヤノンメディカルシステムズ社製:Alphenix core+
デジタル心臓血管X線撮影システム(バイプレーン方式)
心臓や心臓栄養血管(冠動脈)にカテーテルを挿入する「心臓カテーテル検査」を行います。心臓内圧・血中酸素濃度の測定や、血管造影により血流状態や形、心房と弁の動きを調べます。冠動脈に狭窄が確認された際はステントを留置するなどの治療も行います。
2020年12月に装置が更新され、被ばく低減技術「SROT ROI」が搭載されました。詳細に見たいエリアに最適な線量を、周辺エリアには低線量のX線を照射することで、視認性の確保と被ばく低減を両立させることができます。周辺エリアは通常透視に比べ約65~85%の線量低減となっています。
画像提供:キヤノンメディカルシステムズ社
キヤノンメディカルシステムズ社製:Alphenix Biplane
多目的デジタルX線TVシステム
X線TVシステムとはX線を用いて体内を透視し、造影検査や治療を行う装置です。2020年12月に装置を更新しました。Cアームを搭載しており、多方向からの観察が可能な装置です。そのため多様な検査に対応することができます。また高画質・低線量検査コンセプトoctave SPが導入され、従来よりも低線量での検査が可能となりました(同条件で40%程度の被ばく低減)。
オーバーテーブルチューブ/アンダーテーブルチューブの切り替えが可能です。
キヤノンメディカルシステムズ社製:Ultimax-i
デジタルX線TVシステム
2021年1月に装置を更新しました。主に消化管、肝胆膵領域で使用しています。寝台が床上48cmまで下降するため、乗り降りが簡単で移動の負担が少ないシステムです。
高画質・低線量検査コンセプトoctave SPを導入しています。
また散乱線防護クロスを装備し、術者被ばくの低減にも努めています(従来の80%程度の被ばく低減)。
キヤノンメディカルシステムズ社製:ZEXIRA
保科製作所社製:散乱線防護クロス
MRI装置
1.5テスラ MRIシステム
MRI検査は磁場と電波を利用し、任意の断面の撮影を行なうことができる検査です。通常のX線撮影などでは見えにくい脊髄、軟骨、靭帯などを描出することができます。また、造影剤を使わずに血管を描出できることも特徴のひとつです。
当院では2台のMRI装置で、脳、腹部、乳腺、整形外科領域など様々な部位の検査を実施しております。
検査は20分〜40分程トンネルの中に寝ていただきます。当院では従来装置よりトンネルの直径が10cm広いタイプを導入しています。
検査中は「トントン...」と連続的に大きな音がしますが、耳栓やヘッドホンを使用しています。マイクや連絡用ブザーでいつでも検査担当技師を呼ぶことが出来ますのでご安心ください。また、非常に強い磁場を使用していますので、体の中に金属を装着されている方は検査を受けることができない場合があります。
シーメンス社製: MAGNETOM Avanto SQ18
GE社製: Optima MR450w
核医学装置 デジタル ガンマカメラ システム
放射性同位元素を含むお薬を患者さんに注射しますと、お薬は血流にのって臓器に取り込まれます。そして、臓器から放射されるガンマ線をガンマカメラで計測し、お薬(放射性同位元素)の体内分布から目的臓器の働きや形態を調べます。
脳の血流状態や働きを調べることで、脳梗塞や脳出血などの血管障害、認知症やてんかんなどの診断、狭心症や心筋梗塞などの心筋血流や肝機能評価・骨や軟部組織などの全身撮影などに用いられています。
2024年4月に装置を更新しました。新装置では寝台の動きがスムーズになり、装置の厚みも薄くなったことにより、検査の負担が軽減されました。 従来装置では難しかった位置や角度での撮影が可能になり、様々な目的に合わせた検査を行っています。
シーメンス社製: Symbia EVO
PET/CT装置
シーメンス社製 Biograph Horizon

肺がんの症例(病変部→)
①:CT像 ②:PET像 ③:PET・CT融合像 ④:PET全身像
画像提供:シーメンスヘルスケア株式会社