人工膝関節置換術について
どのような手術ですか?
変形した関節を関節代替として働く人工関節に置き換える手術です。
痛み止め(鎮痛剤)や注射、装具などによる保存療法で症状が緩和せず、継続する場合や、極端な変形で歩行困難となった場合等に、人工膝関節置換術等の手術療法が適応になります。
対象疾患としては、変形性膝関節症や特発性膝骨壊死、関節リウマチなどです。
人工関節の素材として、大腿骨コンポーネントには金属あるいはセラミックス、脛骨コンポーネントには金属とポリエチレン、膝蓋骨にはポリエチレンが一般的に使用されています。
使用する素材は患者さんの変形の程度によって異なります。
当院で行っている手術
- TKA(Total Knee Arthroplasty)=人工膝関節全置換術
- 両側同時TKA = 両側同時人工膝関節置換術
- UKA(Unicompartmental Knee Arthroplasty)= 人工膝関節単顆(部分)置換術
患者適合型手術機器 my knee(マイニ―)について
2021年2月から、より正確な手術を行うために、患者様一人ひとりに合わせた手術用のひざの模型を使って手術しております。事前にCTを撮影し、スイスで器具を作り、山形済生病院へ送られてきます。模型を照らし、それに合わせて機械を取り付けて骨を切り、適切な位置に人工関節を設置していきます。
ご希望される方は、膝外来担当医までお申し出下さい。
画像提供:メダクタジャパン株式会社
入院から退院までの流れ
- 問診やレントゲン写真などの各種検査結果、疼痛や身体状況、家庭環境などを踏まえて診断します。その上で、患者さんやご家族の方と相談しながら治療方針を決定していきます。
- 手術が決まったら、入院前に手術むけての各種検査(心電図や採血、CT検査など)で身体や膝の状況を確認します(術前検査)。その際、看護師からの入院時の持ち物や入院中の生活についての説明、薬剤師による現在内服中の薬の確認などを行います。
- 必要に応じて、現在かかりつけの開業医へ情報提供を依頼し、安心して手術に臨んでいただけるように準備していきます。入院生活で不安や心配なことなどがありましたら、看護師や整形スタッフまでお尋ねください。
- 手術の麻酔は基本的に脊椎麻酔にて行います。手術時間は入室から約2時間程度となります(身体状況や手術の内容によって個人差があります)。使用する人工関節の種類やアプローチは患者さんごとに合ったものを準備し、手術を行います。
- 手術後は病室へと戻り、状況に応じて早い方では当日からリハビリテーションを開始し、血栓などの合併症の予防を行います。
- 入院期間は手術の種類によって差はありますが、およそ2週間程度での退院となります。
術後のリハビリテーション
- 当院では、午前中の手術は当日より、それ以降の手術は翌日より、病室で理学療法士によるリハビリを行います。手術直後ははれや痛みがありますが、炎症を抑えるアイシングなどを行いながら、深部静脈血栓症や筋力低下を予防するために、身体や創部の状態を確認しながら早期にリハビリを開始します。
- 病室ではベッド上で行える膝の曲げ伸ばしの訓練などを行い、その後、創部や疼痛の状況に合わせて筋力訓練や起立、歩行練習や階段昇降運動などの日常生活動作練習を行っていきます。退院前には、自宅で生活する上での靴下のはき方やお風呂の入り方などの指導や注意点、自宅でできる運動など筋力を落とさずに日常生活へ復帰できるようにアドバイスを行います。
- 退院後も医師と相談して継続してリハビリに通っていただき、歩行の安定や持久力の向上を目指します。また、通院リハビリだけでなく、筋力の低下予防や関節の動きの改善などのためにも自宅でのリハビリを継続していただき、受診の際に状態の確認や計測を行っていきます。
- リハビリテーションを継続することで、個人差はありますが、手術による疼痛改善や可動域の拡大により杖なしでの旅行や趣味活動も楽しめるようになります。
退院後について
- ほとんどの方は杖歩行で退院となります。退院後は安定するまで状況確認のために受診していただき、術後1年経過したころからは期間を空けての定期的な健診を受けて頂きます。
- その間、筋力低下や可動域の改善のために自宅でも継続してリハビリを行ってください。
- 人工関節の耐久性は15-20年といわれていますが、定期的に受診して頂くことで状態を確認し、長持ちできるように指導していきます。
合併症など
人工関節は失われた機能を再獲得していくことには最適な手術ですが、同時に合併症などのリスクもあります。
- 切開を行うためにいくらかの出血は避けられず、身体状況や持病などの疾病によっては自己血貯血や術後に輸血を行う場合もあります。
- バイオクリーンルームにて手術を行いますが、感染を起こす場合や臥床などによる血栓症のリスクもあります。感染症のリスクを防ぐために、入院前に虫歯などがないか歯科医の受診をお勧めする場合もあります。
- また、人工関節は長い年月が経過すると緩みが生じ、入れ替えの手術(再置換術)が必要になる場合があります。再置換術での入院は通常1~1.5ヶ月程度となります。少しでも人工関節を良い状態で長持ちさせられるよう、診察やリハビリにて注意点等の指導があります。
年間手術例
人工膝関節置換術施行件数(人工膝関節再置換術施行件数)
年度 | 件数(再置換件数) |
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2017 | |
2018 | |
2019 | |
2020 | |
2021 | |
2022 |