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外科・乳腺外科

診療内容

 山形済生病院の外科・乳腺外科で取り扱う疾患は、消化器外科領域(食道から直腸、肛門までの消化管と肝胆膵疾患)および一般外科領域(乳腺、甲状腺、鼠径ヘルニアなど)の疾患です。現在スタッフは6名で、消化器外科部門は浦山、磯部、川口・藤本の消化器外科専門医と乳腺外科部門は乳腺専門医である太田がこれまで通り診療にあたっています。また、4月から若い力として古仲が大学病院から派遣されて加わりさらに活気づいています。腹腔鏡手術が昨今広まっておりますが、学会から内視鏡外科技術認定のお墨付きをいただいているのは山形県内ではまだ少数で、そのうち2人(川口・藤本)が当院に勤務しております。

 診療方針は、外科スタッフ間での術前・術後検討会や消化器内科との合同検討会を通して決定していますし、麻酔科、循環器・呼吸器・糖尿病内科、脳神経外科、その他の科とも連携し、高齢の方、合併症を持った患者さんについても安全な手術が行える体制の提供に努めています。入院患者さんに対しては主治医(おおむね執刀医)を決めつつも、スタッフ全員が患者さん全員の病状を把握し、グループで診療する体制をとっています。これは手術後の患者さんの容態変化にスタッフの誰もが対応できるために必要と考えており、平日はもちろん、土日にも交代で朝夕の回診を行い、対応できる体制をとっています。

 当科で行う治療としては、癌の治療から良性疾患まで多岐にわたります。診断は一般的な検査に加えて悪性疾患の場合はPET/CT検査やカプセル内視鏡などの診断機器のほか、CT画像を三次元構築し、血管走行を把握し、手術に活用しております。また大腸検査においても注腸造影の代わりにCTコロノグラフィーを行っています。乳腺外科領域では、マンモグラフィ検診に加え、精検施設として画像ガイド下吸引組織生検により早期乳癌の発見に努めています。また、マンモグラフィ、超音波併用検診の導入に向けて、資格取得した乳腺超音波技師とともに診療を継続し体制づくりを進めています。

 手術は患者さんの病態に応じて、目的を明確にした上で術式の決定をしています。また長期的な観点から、根治性を損なわずに、なるべく機能を温存しQOLを重視した手術(胃全摘後のポーチ再建など)も臨機応変に施行しています。腹腔鏡手術もその適応を明確にし、利点欠点を考慮して術式の選択を行っています。前述したとおり、当院では日本内視鏡外科学会の技術認定医の2人を中心に、早期胃癌、大腸癌、胆石症(急性胆嚢炎では早期手術など緊急対応を行っています)、鼠径ヘルニア、虫垂炎などを腹腔鏡下に安全・確実に行っております。また、ガイドラインに沿って鼠径ヘルニアは熟練者が施行すれば腹腔鏡手術も推奨されており、平成30年度からは鼠径ヘルニアに対して全身麻酔下での腹腔鏡下ヘルニア修復術も導入し、年々手術件数も増加しております。

 乳癌手術においてもセンチネルリンパ節生検を行い、不要な腋窩リンパ節郭清を回避しつつ、ガイドラインに沿って温存手術を心がけています。さらに術後のスムーズな回復に向けて、当院の充実したリハビリ部門を積極的に活用しています。 手術時や治療中のメンタルサポートとして臨床心理士2人が関わっております。
肛門外来は、第2・4月曜日午後と毎週木曜日午後、磯部、浦山が担当し、近隣の開業の先生からの紹介も増え、肛門手術件数も急増しております。(腹腔鏡手術のページ参照

 手術以外では癌に対する化学療法(抗癌剤治療)も行っています。外来化学療法室にがん化学療法認定看護師が専従しており、認定薬剤師とともに患者さんを安全面、精神面などでサポートしています。緩和ケアチームも活動をしており、内科医師、緩和ケア認定看護師と協力し訪問診療もすでに開始しており、緩和医療の充実にも努めています。

 病棟にはがん専門看護師が配置されています。山形大学放射線治療科、腫瘍内科より医師派遣の下、キャンサーボード(がん患者の治療に関する合同の検討会)が定期的に開催されており、患者さんの治療方針決定に役立っています。いずれの場合でも各疾患の診療ガイドラインを基本としながら患者さんの状態を考慮して、充分な説明を行い、お互いに納得の行く医療を心掛けております。(在宅医療のページ参照

 日々進歩する医療知識、技術等のソフト面にも対応すべく、積極的に学会活動や専門医、認定医の取得なども行っています。その結果、日本外科学会専門医修練施設、日本消化器外科学会専門医修練施設、日本乳癌学会認定施設、日本がん治療認定医機構認定研修施設などの認定を取得しています。

 臨床研修医の指導に関しては、スタッフ全員が臨床研修指導医の資格を有しており、できる限り手術に参加し、外科基本手技が習得できるよう指導に当たっています。

 コロナ禍において、ICDとして磯部は、外科診療を続けながら院内感染対策に日々奮闘しています。

 コロナ禍でも悪性疾患に対する治療は継続していく必要があり、手術トリアージも必要となりますが、この環境の中で患者さんの安全確保、適切な医療の提供を確保しながら、当科の特性を生かした質の高い外科診療を推進していきたいと考えています。

外来診療体制

外来診療体制につきましては下記をご覧ください。
外来診療体制一覧

所属医師名・所属学会・専門分野

太田圭治(S57年医師免許・医学博士)

  • 日本乳癌学会〔専門医〕
  • 日本乳癌検診学会〔検診マンモグラフィ読影認定 As〕
  • 日本外科学会〔専門医・認定医〕
  • 日本消化器外科学会〔認定医〕
  • 日本がん治療認定医機構〔がん治療認定医〕

浦山雅弘(S62年医師免許・医学博士)

  • 日本外科学会〔専門医・指導医〕
  • 日本消化器外科学会〔専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医〕
  • 日本消化器病学会〔消化器病専門医・指導医〕
  • 日本癌治療学会〔臨床試験登録医〕

磯部秀樹(平成元年医師免許・医学博士)

  • 日本外科学会〔専門医・指導医〕
  • 日本消化器外科学会〔指導医・専門医・消化器がん外科治療認定医〕
  • 日本消化器病学会〔専門医〕
  • 日本がん治療認定医機構〔がん治療認定医〕
  • 日本外科感染症学会〔ICD〕
  • 日本臨床肛門病学会〔臨床肛門病認定医〕

川口清(H4年医師免許)

  • 日本外科学会〔専門医・指導医〕
  • 日本消化器外科学会〔専門医・消化器がん外科治療認定医・指導医〕
  • 日本消化器病学会〔消化器病専門医・指導医〕
  • 日本がん治療認定医機構〔がん治療認定医〕
  • 日本内視鏡外科学会〔技術認定医〕

藤本博人(H14年医師免許)

  • 日本外科学会〔専門医・指導医〕
  • 日本消化器外科学会〔専門医・消化器がん外科治療認定医・指導医〕
  • 日本内視鏡外科学会〔技術認定医〕
  • 日本食道学会〔食道科認定医〕

柴田 健一(H14年医師免許・医学博士)

  • 日本外科学会〔専門医・指導医〕
  • 日本乳癌学会〔乳腺専門医・乳腺指導医〕
  • 日本消化器外科学会〔専門医〕
  • 日本がん治療認定医機構〔がん治療認定医〕

治療実績

( )は腹腔鏡下手術
胆石には胃や大腸と一緒に切除したものも含む

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
外科手術件数 428 447 463 527 512 530
麻酔別
全身麻酔 238 265 254 310 285 293
腰椎麻酔 149 116 146 164 175 168
局所麻酔 41 62 63 53 52 69
主な疾患別
胃癌 31(20) 39(15) 24(12) 21(12) 20(9) 18(8)
大腸癌 49(26) 55(26) 55(22) 61(24) 54(28) 46(31)
肝胆膵癌 20 15 14 14 16 10
乳癌 47 39 47 44 50 55
胆石 44(42) 43(36) 37(34) 60(55) 46(43) 60(58)
鼠径ヘルニア 104 87(14) 89(31) 134(58) 119(40) 113(58)
虫垂炎 15(14) 12(10) 14(11) 11(8) 17(15) 15(15)
甲状腺 8 8 9 5 2 1
痔核・痔瘻 64 85 126 136 132 155