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健康コラム

第38話 健康的な食生活を送るために

~日本人の食事摂取基準(2015年版)トピックス~

はじめに

近年の我が国は平均寿命が延び高齢化率が急速に進みました。社会生活を支える基盤は皆さん1人1人が健やかに心豊かに過ごすことにあります。 《元気で長生き》健康寿命を延ばし生活の質の向上には、健康の3本柱とされる「栄養・食生活」「運動」「休養」の充実が望まれます。自分にあった「栄養・食生活」を知る上で食事摂取基準を活用し健康維持を目指しませんか?

※平均寿命とは、平均何歳まで生きられるか予測した数値
健康寿命とは、日常生活が制限されることなく自立的に生活できる期間。

日本人の食事摂取基準(2015年版)とは

「食事摂取基準」は10年間まで「栄養所要量」と呼ばれ、日本人が健康を維持するために摂取すべき栄養素とその量を示したものです。 エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的としエネルギー及び各栄養素を1日にどれくらい摂取したらよいかを性別・年齢階層に区分した基準が示され、栄養素の指標は、推定エネルギー必要量をはじめ、たんぱく質、脂質、炭水化物のほか、ビタミン13種類、ミネラル13種類で構成されています。

厚生労働省では毎年「国民健康・栄養調査」を行い、国民の身体状況や栄養素摂取量、生活習慣の状況の調査をもとに社会状況の変化を反映しながら5年ごとに見直しを行ない、この度「日本人の食事摂取基準(2015年版)」が出されました。今回の改定の特徴は、エネルギー必要量の基準の指標に「BMI(体格)」を採用したこと、ナトリウム(食塩相当量)について生活習慣病の予防を目的とした「目標量」が充実し、高血圧予防の観点から値を低めに変更したことです。

健康維持のための体重管理とは

健康管理の中で体重の把握は重要であり、体重は多すぎても少なすぎても健康を保つ上では問題です。 目標とする体重かどうかの判断には、体重と身長から簡易に計算できる「体格指数(BMI:Body mass index)」という方法があります。(図1)

2015年版までは、成人以降は年齢に関わらずBMIの数値が【18.5未満=やせ】【18.5~25未満=標準】【25以上=肥満】と区分していました。 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では体重の変化を重視しBMIと死亡率についての調査結果をもとに、年齢別に目標とするBMIの範囲が新たに適用され、数値内にあれば健康的な体重の目安となります。(図2)

図3の調査結果に示すように年齢や性別によるBMIの分布に特徴があり、目標とするBMIの範囲に合わせた体重維持が望まれます。

BMIが目標範囲より高い場合(肥満)は、生活習慣病の発症予防、疾病の進展防止のためにも摂取エネルギーを見直して消費エネルギーを増やすなど体重コントロールを行います。良質のたんぱく質をとりながら過剰なエネルギーを減らすことをお勧めします。

また、BMIが目標範囲より低い場合(やせ)は、摂取エネルギー不足により低栄養に陥る場合があります。低栄養は免疫力の低下や転倒時の骨折等により寝たきりを招くなど、健康寿命を短縮させる要因となります。 良質なたんぱく質を中心に、総エネルギー摂取量を増やすため全体的な食事の摂り方に工夫が求められます。

図4はBMIがエネルギーの摂取量及び消費量のバランス(エネルギー収支バランス)の維持を示す指標となります。 体重の変化はエネルギー摂取量の指標としても用いられ、体重が適正かがわかり摂取するエネルギーの過不足の判断ができます。 健康的な一生を送るためにも体重を適宜確認し、毎日の食事をバランスよく摂ることと適度な運動が大切となりますね。

栄養バランスの良い食生活とは

基本的には食事内容は「なんでもバランスよく」、特定の食品に偏らずいろいろな食品を食べることがポイントです。また、規則的に1日3回の食事回数を元によく噛んで食べることも大切です。 主になる食品を意識して取り揃えましょう。(図5)

適塩は健康のための最初の一歩

望ましいナトリウムの食事摂取基準(食塩相当量)とは 生活習慣病対策のために、世界で最も優先すべき食習慣の改善が「減塩」とあるほど、摂り過ぎに注意が必要な栄養素としてナトリウム(食塩相当量)があげられます。食事摂取基準の改定の度に段階的に引き下げられ、2015年版の目標量は男性8.0g未満、女性7.0g未満です。山形県の食塩摂取量は全国でも上位であり、減塩に向けた意識が重要です。

《塩分を減らす工夫とは》

1.食べ方で減塩

  • 塩分の多いものは量と回数に注意する
  • 麺類の汁は飲み干さない
  • しょうゆは「かける」より「つける」
  • 栄養成分表示で食塩相当量 (g)をチェックする

2.作り方で減塩

  • 旬の新鮮な食材を使い、天然のだし(昆布やかつおぶし、干ししいたけなど)でうま味を活かす
  • 酸味(酢やレモンなど)や香辛料(生姜、カレー粉、からしなど)、香味野菜(しそ、ねぎ、みょうがなど)を上手に加える
  • 減塩や低塩に調整されている調味料や食品を上手に利用する

ご家族で協力しながら、少しずつ減塩に慣れ適塩生活に努めましょう。

おわりに

「食べることは生きること」。
食事はおいしく楽しく!日々の食生活で健やかな健康維持をめざしましょう。 自分にあった食事量・内容・体重について知ることが大切です。

食事摂取基準や食事の摂り方等についてのご相談は、管理栄養士にお問い合わせ下さい。

森 幹子 (もり みきこ)

出身地  山形県山形市
職  歴 平成8年1月済生会山形済生病院 入職
現  職 栄養部 主任
資  格 管理栄養士
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