健康コラム
第37話 慢性呼吸器疾患(まんせいこきゅうきしっかん)とその予防について
私は、2013年7月に、日本看護協会「慢性呼吸器疾患看護認定看護師」の資格を取得し、現在は呼吸器内科病棟で勤務しながら活動を行っています。主に、呼吸ケアサポートチーム(RST)でラウンドやカンファレンスを行ったり、院内外で勉強会や研修を行う中で、慢性呼吸器疾患患者さんがよりよい医療・看護をうけることができるよう日々努めています。
慢性呼吸器疾患とは
- 慢性呼吸器疾患に含まれる疾患は多様であり、肺がんを除くほぼすべての呼吸器疾患を含む
- 慢性呼吸器疾患患者の特徴としては、長い病期の中で、安定と増悪(悪化)を繰り返しながら、徐々に進行していく病状
- それぞれに身体的、心理的、社会的及び霊的な面で問題を抱え生活している
- 急激に悪くなる「急性増悪」を起こしてしまう頻度が多ければ多いほど、予後が悪化していく傾向がある
慢性呼吸器疾患の原因は?
肺炎に関しては細菌などによる感染症が原因ですが、多くの慢性呼吸器疾患は、喫煙や大気汚染などの有害物質の吸入、膠原病など、様々な原因でかかってしまいます。 慢性呼吸器疾患の治療 徐々に進行していく疾患が多いため、禁煙、運動療法、吸入、内服、酸素療法、人工呼吸器装着など、その場面に合った治療を選択していく必要があります。
慢性呼吸器疾患の予防
一番の予防は禁煙です!!
喫煙で寿命が3年半縮みます!!
さらに、男性ではがんの中での死亡原因で、肺がんが第1位となっています。癌、心疾患、脳卒中、糖尿病など死亡原因上位の多くが喫煙に関連したものです!! また、肺炎は2011年に死亡原因が、悪性新生物(がん)、心疾患に続き3位に上昇しました。
禁煙するとこんないいことがあります。
- 血圧が正常になります
- 心筋梗塞の危険性が減少します
- 脳卒中の危険性が減少します
- 肺がんを中心とし、さまざまながんのリスクが減少します
- メタボリック症候群を減少(受動喫煙でもメタボは増加)します
- 認知症を減少(受動喫煙でも認知症は増加)します

上の図は喫煙と呼吸機能の関係を示したものです。喫煙によって呼吸機能は著しく低下してしまいます。しかし、禁煙するとその時点から、呼吸機能は喫煙経験のない人と同じ傾きに変わっているのがわかります。 つまり、今喫煙している人でも、早期に禁煙することがおすすめです。
禁煙するための「あいうえお」
あ:あかるくやめよう タバコの快楽は一瞬。卒煙すれば血流もよくなって体も心も楽に
い:いっきにやめよう 本数を減らしたり、軽いタバコに変えるのは逆効果。いっきに「ゼロ」に。
う:うごいてやめよう つらいときは体を動かそう。ストレッチ、ウォーキングなど。
え:えんを結んでやめよう 家族や友人、専門職に相談を。ニコチンガムやニコチンパッチも役立ちます。
お:おきあがりこぶしでやめよう 失敗を恐れず根気強くやりましょう。
呼吸ケアサポートチーム(RST)について

人工呼吸器装着患者さんに対してカンファレンス、ラウンドを行っています。急性増悪を起こし人工呼吸器を装着した患者さんが、できる限り早く人工呼吸器なしでの生活に戻れるよう、日々活動しています。 慢性呼吸器疾患は一度なってしまうと、治らずにどんどん悪くなる病気が多いです。なってしまわないように禁煙などの予防をしていきましょう!
※尚、病院内は敷地内を含めて全て禁煙です。ご理解とご協力をお願いします。
渡邊 健 (わたなべ たけし)
昭和56年生まれ
出身地 山形市
最終学歴 日本赤十字看護大学 看護実践・教育・研究
フロンティアセンター
認定看護師教育課程 慢性呼吸器疾患看護
コース卒業
職 歴 平成14年4月 済生会山形済生病院入職
資 格 日本看護協会 慢性呼吸器疾患看護