重要なお知らせ
新型コロナウイルスに関するお知らせ

健康コラム

第34話 専門・認定 薬剤師(やくざいし)について~がん薬物療法認定薬剤師(やくぶつりょうほうにんていやくざいし)・感染制御認定薬剤師(かんせんせいぎょにんていやくざいし)・NST(栄養サポートチーム)専門療法士~

「専門・認定 薬剤師」
専門・認定 薬剤師とは?

最近の医療の進歩には目覚しいものがあり、医療の担い手として専門性を生かし、より良質の医療を提供するため、薬物療法などについての知識・技術を備え、国民の医療・保険・福祉に貢献することのできる薬剤師が求められています。そのため、必要とされる領域の薬物療法などについての専門家として一定の水準以上の実力があり、医療の現場で活躍できる薬剤師を専門・認定薬剤師として日本病院薬剤師会や各種学会で認定しています。当院には、「がん薬物療法認定薬剤師」「感染制御認定薬剤師」「栄養サポートチーム専門療養士」などが在籍しており、以下にそれぞれの役割や業務について紹介します。

《がん薬物療法認定薬剤師》

がん薬物療法認定薬剤師とは、がん分野における薬物療法などについての十分な知識と技術を用いて、質の高い業務を実践していることが認められた薬剤師です。研修・実地・試験により、日本病院薬剤師会が認定しています。平成25年10月現在、全国で884名、県内では17名が、がん薬物療法認定薬剤師の認定を受けています。

がんの標準的な治療は、「手術」「放射線」「抗がん薬」の3つに大別され、その中でも特に目覚しい進歩を遂げているのが「抗がん薬」による薬物療法です。昨今、続々と新たな抗がん薬も開発される中、優れた治療効果をあげる薬が増えてきています。また、抗がん薬による吐き気・骨髄抑制・皮膚症状・口内炎などの副作用症状に対し、副作用を軽減するための新しい薬も開発されたり、様々なガイドラインの整備も進み、患者さんの苦痛の軽減もできるようになってきています。しかし、抗がん薬の治療で起こる身体的・精神的苦痛は無くなってはいません。そこで、それらの苦痛を少しでも軽くできるように『がん薬物療法薬剤師』は、医師や看護師などと連携を取りながら、抗がん薬の投与計画を立て、さらに薬学的観点から、治療効果の向上や副作用症状の軽減などを目的として、患者さん一人ひとりに合ったより良い治療ができるように取り組んでいます。

西村 雅次(にしむら まさつぐ)

昭和43年生まれ
出身地  山形県山形市
最終学歴 東北薬科大学薬学部衛生薬学科 平成3年3月卒業
職  歴 平成3年4月 済生会山形済生病院 入職
現  職 薬剤部 係長
資  格 日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師

《感染制御認定薬剤師》

感染制御認定薬剤師は、感染制御学を学び、病院などの医療機関の中で起こる感染症の予防や治療に突出したスキルを有する薬剤師を指します。実地・試験により、日本病院薬剤師会が認定しています。平成25年10月現在、全国で805名が認定を受けており、県内では8名の薬剤師がおります。

細菌、ウィルス、カビ、寄生虫などが人に寄生し、増殖して、それによっておこる病気を感染症といいます。 どんなに元気で健康な人でも感染症になる危険性はあります。皆さんにとっても"インフルエンザ"や"食中毒"は身近でよく聞く感染症ではないでしょうか。高齢者や子供、別の病気にかかっていて体が弱っている人はさらに感染症になりやすく、かつ重篤化しやすいものです。医療の場では撲滅したい感染症、しかし感染症をゼロにすることは残念ながら不可能ですし、どんな感染症も治す万能薬もありません。そこで病原体に感染する防止策を研究・実践し、感染症のリスクを最小限にする、感染症が発生しても速やかに、広めずに治療する、つまり"感染"を"制御"する知識・スキルが医療の場では必須なのです。最近、病院内や医療機関において院内感染などが問題となっています。その現状において感染制御認定薬剤師は、医師・看護師・臨床検査技師などと共に感染症の制御を行う役割を担います。感染を制御するためには消毒薬や抗生物質などの薬物が大きな効果を発揮しますが、薬の種類やその組み合わせによって、様々な問題を引き起こします。薬の使い方を誤れば、薬効が減弱したり、副作用が強くでたり、あるいは抗生物質が効かないスーパー病原菌(耐性菌といいます)を大量発生させてしまうこともあります。そういったことを避け、皆さんの感染症予防・治癒に貢献する、それが感染制御認定薬剤師の職務です。

石山 晶子(いしやま あきこ)

昭和56年生まれ
出身地  山形県尾花沢市
最終学歴 東北薬科大学薬剤部製薬学科 平成16年3月 卒業
職  歴 平成16年4月 済生会山形済生病院 入職
現  職 薬剤部 薬剤師
資  格 日本病院薬剤師会 感染制御認定薬剤師

《NST(栄養サポートチーム)専門療法士》

入院される患者さんの中には、栄養不良を併発している方がたくさんいます。その原因は様々ですが、適切な栄養管理をしないまま治療を継続しても、薬剤の十分な効果が発揮されず治療が長引いたり、細菌や癌細胞と戦う力(免疫力)が低下し、合併症を誘発したりすることがあります。また、筋力が低下し、リハビリが思うように進まないこともあります。栄養管理は、あらゆる医療の基礎となり、且つ、患者さん個々に応じて、適切に実施されなければなりません。そういった栄養管理の支援を行うために発足した医療チームがNSTです。NSTは、多職種(医師、看護師、薬剤師、栄養士、臨床検査技師、リハビリテーションスタッフなど)で構成されており、多方面からのケアが可能となります。当院では、2005年にNSTを発足し、活動を続けています。

NSTにおける薬剤師の役割は、主に、各種臨床検査値に基づく栄養評価と、栄養投与ルート・内容の選択、薬剤による栄養摂取への影響の有無確認などです。これらを適切に実施するため、研修・実地修練・試験などによりJSPEN(日本静脈経腸栄養学会)の認定を受けた技術者がNST専門療法士です。全国には、2000人余りの認定取得薬剤師がおり、県内の認定薬剤師は10数名です。

当院では、週1回、NSTカンファレンスと回診を行っています。ここでは、対象患者さんについて、多職種で情報を共有し、問題点(嚥下障害、食欲不振、貧血、下痢・嘔吐、炎症遷延など)の確認やどの栄養素をどのルートで投与すべきかなどの話し合いがもたれます。また、患者さんのベッドサイドに赴き、皮膚状態や浮腫の有無を観察したり、握手した手の力やお話してくださる声・内容などからも情報を収集し、栄養管理に活かすこともあります。また、院内の医療スタッフを対象に、定期的な勉強会も開催しています。

志田 伸子(しだ のぶこ)

  

昭和53年生まれ
出身地  山形県米沢市
最終学歴 東北薬科大学薬学部薬学科 平成13年3月 卒業
職  歴 平成14年4月 済生会山形済生病院 入職
現  職 薬剤部 薬剤師
資  格 JSPEN認定NST専門療法士

薬剤部についてはこちら