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健康コラム

第30話 がんと抗がん剤治療(こうがんざいちりょう)

がん化学療法看護認定看護師 田代 陽子

がんについて

がんは、ウイルスや発がん性物質などさまざまな要因によって細胞の遺伝子に傷がついて生じる病気です。長生きすればするほど細胞ががん化する可能性は高くなり、現代人にとっては宿命的な病気の一つといえるかもしれません。

ほとんどの人にがん細胞が発生するといわれていますが、がん化した細胞は生体内にあるがんを抑制するシステムにより自然に消し去られるとされています。しかし、何らかの原因で抑制できなくなった一部のがん化した細胞がルールを無視して増え続け、がんの塊をつくり広がっていきます。このような状態がいわゆる「がん」または「悪性腫瘍」という病気です。 現代の日本では、2人に1人が「がん」になる時代といわれています。早期に見つかれば完全に切除できることもありますが、再発したり、また別の「がん」になってしまうこともあります。切除ができない状態でも、薬剤による治療(抗がん剤治療)が行えます。最近ではがんの進行を抑える新しいタイプの薬が次々と開発されてきています。病変を完全になくすことはできなくても、うまくコントロールして長期にわたり通常の生活をしながら治療を続けることも可能になってきました。

がんの治療について

がんの種類や大きさ、部位などによってこれらの①~④の4つの方法を単独で、もしくは組み合わせて行います。

薬物治療の目的

がんの種類や大きさ、部位によって異なりますが、大きく分けて以下の5つとなります。

どのような薬物(抗がん剤)治療を行っていくかは、がんの種類、治療の目的、抗がん剤の種類や副作用の程度によって異なります。多くの場合は、抗がん剤を投与する日と休む日を計画的に組み合わせてスケジュールに沿って繰り返し治療を行います。

抗がん剤治療を受けるために

抗がん剤の副作用について

抗がん剤治療は、最大限の効果を期待して体に影響を及ぼさないギリギリの量の薬剤を使用します。抗がん剤は分裂の盛んながん細胞を攻撃しますが、分裂の盛んな正常細胞も攻撃を受けてしまうため副作用が現れます。細胞分裂が盛んな正常細胞としては骨髄(血液細胞)、髪の毛、爪、口やのどの粘膜などがあげられます。これらの細胞がとくに抗がん剤による影響を受けやすく、副作用が現れやすい場所になります。副作用の起こりやすさは抗がん剤の種類や患者さんの状態によって個人差があり、強く出る場合、全くでない場合などさまざまです。

これらの副作用が全部おこるというわけではありませんが、あらかじめ予想される副作用を理解して準備しておけば予防できるものもありますし、実際に副作用がおこったときも早く適切に対処できるので、症状が重くなるのを防ぐことができます。副作用の予防については、患者さんご自身が生活上注意したり工夫することで、十分に効果を上げられるものも多くあります。

主な副作用としては、吐き気、嘔吐および食欲不振、感染症、出血、下痢、便秘、脱毛、口内炎、神経毒性(しびれ、筋肉痛)、倦怠感、皮膚の変化(色素沈着、手足症候群)、味覚障害、性機能障害などがあります。副作用を和らげるや薬もありますので担当医師や看護師、薬剤師と相談することが大切です。

抗がん剤の治療を進めていくとき、いろいろな疑問や心配がでてくることがあると思います。そのようなときは、疑問や心配を自分一人で抱え込まないで医師をはじめとする医療スタッフにどうぞおたずねください。病院の医療スタッフは、みなさんが安心し、納得して治療を続けられるようお手伝いしたいと思っています。まずは、身近な看護師に声をかけてください。看護師がだれに相談したらよいかという相談を承ります。

田代 陽子(たしろ ようこ)

出身地  山形県尾花沢市
最終学歴 聖路加看護大学 看護実践開発研究センター
     認定看護師教育課程 がん化学療法看護コース
     卒業
職  歴 平成7年4月 済生会山形済生病院 入職
現  職 副主任看護師
資  格 がん化学療法看護認定看護師
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