身体所見(診察)による診断

下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の診断は、体表面からの動脈の拍動触知と視診、触診(冷感や乾燥、潰瘍、壊疽)により、下肢動脈の狭窄や閉塞の有無を診断することが可能です。また足関節/上腕動脈血圧比(足関節の血圧/上腕動脈の血圧、ABI:Ankle Brachial Pressure Index)を測定することで、下肢虚血の重症度を評価することができます。

画像・機能的診断

①血管生理検査

低侵襲な検査方法を組み合わせて下肢閉塞性動脈硬化症の診断を行います。

  • 血圧脈派検査
    四肢の血圧を同時に測定します。足関節/上腕動脈血圧比(ABI)が0.9 < ABI <1.3の場合、正常と診断します。ABI≦0.9あるいはABI≧1.4の場合にASOが強く疑われます。
  • 下肢動脈エコー
    パルスドプラ法により血流速派形の異常や血流速度の増大を計測し、動脈の狭窄や閉塞の有無を検出します。さらに断層法により、動脈壁の形態学的異常(動脈壁のプラークの有無、壁不整、狭窄率など)を評価することが可能です。
  • 皮膚還流圧(SPP)
    皮膚の灌流圧を測定することにより、皮膚におけてどの程度の圧で微小循環が灌流しているかを評価します。重症虚血肢における創傷治癒の指標となります。
  • 経皮酸素分圧(tcPO2
    皮膚組織の酸素分圧を測定します。SPPと同様に重症虚血肢における創傷治癒の指標となります。
  • トレッドミル跛行検査
    一定条件の運動負荷(トレドミル歩行)後の下肢血圧の変化(20-30%の血圧低下)によりASOの診断を行います。また、間歇性跛行出現距離や最大歩行距離を計測することによりASOの重症度判定や治療方針の決定に寄与します。
②造影CTアンギオ

ヨード造影剤を上肢の静脈から経静脈的に投与し血管内腔を造影しながらX線を用いた断層画像を撮影します。これらの画像を3次元構築して動脈の走行や狭窄・閉塞部位を特定します。また動脈瘤の併存や壁在血栓の有無、血管壁の石灰化の評価も可能であるため、血管病の診断においては非常に重要な検査です。

一方で、造影剤(ヨード)アレルギーや腎機能障害などの既往症がある場合は、同検査での評価が困難な場合があります。

③血管造影検査(カテーテル検査)

下肢動脈特に下腿動脈以下の細い血管の狭窄あるいは閉塞の診断と治療方針の決定のために非常に重要な検査です。上腕動脈(肘部)や大腿動脈(太腿の付け根)を穿刺して動脈内にカテーテルを挿入します。さらにガイドワイヤーと造影用のカテーテルを動脈内に挿入し、大動脈から骨盤内動脈(腸骨動脈)、大腿部動脈、膝部から下腿の動脈、足関節周囲の動脈を描出します。細い血管における閉塞部位の特定や側副血行路の発達の状態も把握することが可能であり、治療方針の決定に重要な検査です。

診断と治療方針の決定

血管生理検査やCTアンギオ、必要に応じて血管造影検査を施行して下肢血行障害の原因となっている病変を特定します。下肢が閉塞している部位や距離または病変の及んでいる範囲を特定します。下肢動脈は骨盤から足関節周囲まで動脈硬化に陥る範囲が広いため、狭窄や閉塞部位が何箇所に及んでくることが多い疾患であるため、治療方針の決定は慎重に行う必要があります。また、前述のように心疾患や脳血管疾患が高率で合併するため、全身疾患の検索を行い、治療の優先順位を決定する必要があります。

病気の概要、好発部位、重症度分類 治療の方法

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