健康コラム

第45話 「リンパ浮腫」について

足のむくみや、腕のむくみでお困りの方はいませんか?

むくみには様々な原因があります。塩分やアルコールの取りすぎによるむくみ、静脈瘤によるむくみ、肝臓や心臓、腎臓などに原因がある場合のむくみ等々。
では、みなさんに質問です。「リンパ浮腫(りんぱふしゅ)」は聞いたことがありますか?「リンパ」は聞いたことがあっても「リンパ浮腫」は初めて耳にした、という方も多いのではないでしょうか? 「リンパ浮腫」って何?? 今回の健康百話は、「リンパ浮腫」についてのお話です。

今回、リンパ浮腫を紹介させていただく私たちはリハビリのスタッフですが、3年ほど前に「リンパ浮腫療法士」の資格を取りました。リンパ浮腫療法士は日本リンパ浮腫治療学会の認定資格で、リンパ浮腫治療について学んだ専門家です。山形県内でリンパ浮腫療法士が在籍している施設は3施設のみですが、当院リハビリ部門には2名のリンパ浮腫療法士が在籍しています。


≪リンパ浮腫とは?≫

体の中には、血管(動脈、静脈)と同じように全身にリンパ管が張り巡らされていて、その中をリンパ液(リンパ球やたんぱく質、老廃物を多く含む)が流れています。そのリンパ管やリンパ節に障害が起こり、リンパ液が流れないために起こるむくみをリンパ浮腫といいます。原因が明らかでないものと、手術や外傷など治療の後遺症として生じるものがあります。

    なかでも、乳がん、子宮がん、前立腺がんなどの手術でリンパ節を取り除いたり、放射線治療や抗がん剤治療によってリンパの流れが悪くなり、腕や足がむくむことがあります。このむくみをリンパ浮腫といい、がん治療の後遺症のひとつです。リンパ浮腫の発症時期(症状が出る時期)には個人差があり、手術後すぐに起こる場合もあれば、10年以上経過してから発症することもあります。

 リンパ管、リンパ節(略図)

       上肢リンパ浮腫

       下肢リンパ浮腫

リンパ浮腫は、がんの治療を受けた全ての患者さんが発症するわけではありませんが、一度発症すると治りにくいという特徴があります。軽いむくみであれば、自己管理をしながら普段の生活を送ることができますが、重症化すると生活に支障を来すことがあります。発症後は早い時期から治療を始め、悪化を防ぐことが重要です。

もし、これらの症状に心当たりがあれば、医療機関で診断を受けましょう。ほかの病気の可能性もあるため、自己判断はしないようにしましょう。


≪リンパ浮腫の治療≫

リンパ浮腫の治療には保存的治療と外科的治療があります。当院では、国際的にもリンパ浮腫の標準治療とされる保存的治療の「複合的理学療法」を行っています。むくみの原因を判断するために、エコー検査など各種検査が行われ、その後、複合的理学療法が開始されます。

<複合的理学療法>
 ①スキンケア ②用手的リンパドレナージ ③圧迫療法 ④圧迫下での運動療法の4つの治療
 法を組み合わせ、患者さんの症状に合わせて実施します。日常生活での注意点の指導も合わ
 せて行います。


<当院における入院治療について>
 当院では、外来でもリンパ浮腫患者さんへの対応を行っていますが、むくみの状態によって
 は集中的に治療を行う目的で10日~2週間ほど入院していただき、用手的リンパドレナージ
 や包帯での圧迫療法を中心とした複合的理学療法を実施しています。集中治療は、弾性ス
 トッキングの装着が困難になっている患者さんなどに適しており、むくみの状態をより良く
 改善することができます。
 県内各地のリンパ浮腫患者さんが当院で集中治療を行い、むくみの状態を改善させて退院さ
 れています。

<外科的治療について>
 近年、静脈とリンパ管をつなぐ外科的手術(細静脈-リンパ管吻合術)が首都圏の病院を中心
 に行われています。リンパ浮腫をより良く改善するため、患者さんのむくみの状態によって
 は手術が勧められることもあります。当院と連携を取っている東京都内の病院もありますの
 で、手術についての情報を詳しく知りたい方は、私たちリンパ浮腫療法士にお問い合わせ下
 さい。


≪むくみについての相談は、山形済生病院へ!≫

リンパ浮腫治療について、最後まで読んでいただきありがとうございました。
さいごに...、ご家族、ご友人など、お知り合いの方に子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がんなどの手術をした方はいませんか?もし、むくみを気にされているようでしたら、この記事のことを紹介してあげてください。

むくみについての相談は、これまで当院を受診したことがない方でも大丈夫です。まずは当院の外来を(足のむくみでお困りの方は心臓血管外科を、腕のむくみでお困りの方は乳腺外科を)受診してむくみのことをお話してください。外来診療日については診療科により曜日が異なりますので、パンフレットやホームページでご確認いただくか、電話などでお問い合わせください。

リンパ浮腫患者さんのお役に立てるよう私たちリンパ浮腫療法士は、当院のスタッフと共に今後も力を注いでいきます。どうぞよろしくお願いします! 


「私、リンパ浮腫じゃないんだけど、むくむんです」という方には?

一般的な足のむくみの予防には、適切な圧迫や、第二のポンプ(ふくらはぎの筋肉)を使うことなどが有効です。1)着圧ソックスの使用 2)足首を上下に動かす 3)足踏み運動をする 4)歩く これらは、静脈の流れを促進し、むくみを軽減してくれます。
さらに、リンパの流れを良くするには「第三のポンプ」と言われる呼吸運動を行うことも良いということが知られてきました。1)肩回しの運動 2)腹式呼吸 を行ってみましょう。


リンパ浮腫についてのお問い合わせは、こちらまでどうぞ!
山形済生病院 リハビリテーション部
TEL:023-682-1111(代表番号)


笹原 咲織(ささはら さおり)

出 身 地  山形県村山市
最終学歴 秋田大学医療技術短期大学部理学療法学科卒業
職  歴 平成8年4月 済生会山形済生病院入職
現  職 リハビリテーション部 副主任 理学療法士
資  格 理学療法士
     リンパ浮腫療法士
     医療リンパドレナージセラピスト
     弾性ストッキングコンダクター

今野 裕子(こんの ゆうこ)

出 身 地  山形県天童市
最終学歴 国際医療福祉大学保健医療学部作業療法学科卒業
職  歴 平成20年4月 済生会山形済生病院入職
現  職 リハビリテーション部 作業療法士
資  格 作業療法士
     リンパ浮腫療法士
     医療リンパドレナージセラピスト

2019.05.30

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