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下肢血行障害を生じる他の疾患(小塞栓子)

小塞栓による限局性塞栓閉塞
(大動脈瘤、抹消動脈瘤、不整壁在血栓などに由来)

(1) 病気の概要

小塞栓子による限局性塞栓閉塞は、主に大動脈壁における不整な壁在血栓が遊離や動脈硬化巣由来のコレステロール結晶が血液中に遊離し、主に足趾レベルでの小動脈を閉塞することにより発症します。

症状は足趾や足底部における境界明瞭で多発する斑状のチアノーゼや足趾の壊死などです(Blue toe syndrome)。

(2) 診断

急性動脈閉塞や下肢閉塞性動脈硬化症などと同様に造影CT検査を施行することで診断します。また、既往歴やカテーテル検査、手術歴などの病歴が診断上重要であります。

  • 小塞栓子の塞栓源としては、動脈硬化性変化による胸部あるいは腹部大動脈の不整壁在血栓(Shaggy aorta syndrome)や胸部や腹部大動脈瘤の壁在血栓から遊離するものが知られています。
  • コレステロール結晶塞栓症は、動脈壁に存在する粥腫(プラーク)が破綻して、動脈硬化巣からコレステロール結晶が血中に遊離し、末梢の微小動脈を閉塞し、同部位において血管炎を引き起す疾患です。プラーク破裂の引き金としては、カテーテル治療や血管手術(機械的な要因によりプラークを被っているフィブリン膜が破壊される)や抗凝固療法や抗血小板剤などによるプラーク破裂などが知られています。コレステロール結晶塞栓症では急性や亜急性の重症症例があり、下肢血行障害のみならず急性腎不全を併発し重症化することが知られています。適切な診断と速やかな加療が必要な疾患です。
  • 特発性血小板増多症などの血液疾患により血液の粘性が異常に高まり微小動脈を閉塞する疾患。血液検査にて診断は容易ですが血液疾患の専門医による精査が必要です。
(3) 治療
  • 薬物療法:抗凝固療法、抗血小板剤投与、血管拡張剤などの投与により症状の改善が得られる場合があります。
  • 外科的治療:大動脈瘤が微小塞栓の塞栓源である場合には、塞栓症の再発の予防と大動脈瘤の破裂予防の目的に大動脈瘤に対する手術(ステントグラフト内挿術や人工血管による置換術が必要になります。
  • 創処置:足趾の潰瘍や壊死に対する適切な創処置が必要です。
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