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下肢血行障害を生じる他の疾患(レイノー)

レイノー病、レイノー症候群

(1) 病気の概要

レイノー現象とは、指趾の末梢動脈における血管の攣縮(けいれんを起こして極めて細くなる)による症状です。動脈における器質的病変(狭窄や閉塞)は認めない、機能性動脈疾患のひとつです。

様々な原因によって、レイノー現象が誘発されます。特に寒冷刺激や精神的なストレスによって生じることが多いとされています。寒冷刺激などに手指や足趾がさらされると、指趾の末梢動脈が攣縮し血行障害を生じる結果、指趾は蒼白になります。少し時間が経過すると血管の攣縮が解除され、再度血流が再開します。血管内皮細胞の反応により反応性充血を生じ、指趾は赤くなります。

これらのレイノー現象を生じる疾患群は、大きく2群に分類されます。ひとつは基礎疾患を有さず、寒冷刺激などにより上記のレイノー現象を生じる群で、これを一次性レイノー現象(レイノー病)と呼びます。一方で、何らかの基礎疾患に関連した血管の機能障害を2次性レイノー現象(レイノー症候群)と分類します。背景となる疾患としては、膠原病などの自己免疫疾患や薬剤、振動病などが挙げられます。レイノー症状が認められた場合には、膠原病などの全身疾患の関与を評価する必要性があります。

(2) 診断

レイノー現象を再現し客観的に診断する方法として、サーモグラフィーを用いた寒冷誘発試験が有用です。手指を氷水に浸して、手指の温度を経時的に測定していきます。再充血までの時間が延長している場合にレイノー現象と診断します。レイノー現象を誘発する要因として寒冷刺激や喫煙歴有無、薬剤の暴露の有無、職歴(振動暴露)などを問診します。さらに、何らかの基礎疾患によるレイノー現象(レイノー症候群)を鑑別するために膠原病専門医による検索が必要です。

(3)治療

まずは、レイノー現象を誘発する要因を回避することが重要です。寒冷刺激を避け、禁煙(副流煙を含めて)を徹底することが重要です。
薬物治療としては、血管拡張剤や抗血小板剤などの投与が適応になります。
背景疾患として活動性の膠原病が関与している場合には、その治療が重要になります。