健康コラム

第52話 「腎臓(じんぞう)とは? 透析(とうせき)とは?」

はじめに

腎臓は体に必要な物質を取り込み、いらない物を尿として体の外に排出しています。この腎臓の働きが極端に落ち、腎臓が殆ど働かなくなった状態を腎不全と言います。これに対し行われる治療が「透析」です。透析には、血液透析と腹膜透析があり、当院では血液透析を行っています。血液透析とは、血液を体の外に取り出し、人工膜を介して血液をきれいにして戻す、働かなくなった腎臓の代わりをする治療です。通常、週3回、1回4~5時間の治療を行います。当院は、24床の透析ベッドを有し、通院患者さん、入院患者さんの治療を行います。透析室は、患者さんが安心して透析治療ができるように、医師、看護師、臨床工学技士、リハビリ、ケースワーカーなど様々な職種が協力し合っている部門です。今回は、現在特に力を入れている、患者さんへの教育、フットケア、腎臓リハビリテーションについてご紹介したいと思います。

「あなたの腎臓、守れていますか?」

みなさんは、健康診断などで腎臓機能の項目eGFR・CRE・UN(BUN)の値をみたことはありますか? eGFRは糸球体濾過量といい、腎臓の働きを現す数値です。この数値は、個人差や年齢差があり、正常値は記載されていないことが多くあります。数値が低いほど腎臓の働きが悪いことを意味し、正常値は90以上、60未満は腎不全ということになります。(表1)。糖尿病や、加齢、様々な腎臓の病気の影響でも腎臓の働きは悪くなります。そして、腎臓の働きが悪くなると、排泄されるべき老廃物のCRE(クレアチニン)・BUN(血中尿素窒素)などが体の中に溜まり、血液検査で数値が上がってきます。多くは、長い時間をかけてゆっくりと自覚症状が無いまま悪化していきます。
足や全身の浮腫みが続く、怠い、食欲がない、吐き気があるなど「あれ、おかしいな」と思い受診した時には「あと〇年で、透析が必要ですよ」と言われてしまうことがあります。つまり、症状が出てからでは手遅れですので健診による早期発見・早期治療が大事です。一度悪くなった腎臓の機能は二度と戻りません。最終的にeGFR30未満になると、透析や腎臓移植が必要となってきます(表1)。

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表1 慢性腎臓病(CKD)ステージ

では、どのように悪化を予防したらよいのでしょうか。
一番の予防は減塩です。減塩することで高血圧を防ぎ、その結果、腎臓の働きを守ることができます。東北地方は塩分摂取量が多く、特に山形はラーメン消費量上位であり、元々塩分過多の生活です。それに加え、仕事で帰りが遅い、生活が不規則で外食やコンビニ弁当が多いなどで塩分コントロールできない状態が続き、腎臓の働きを悪化させてしまうことが多いようです。もし、検査結果で要注意・要観察と言われたら、なるべく早く腎臓内科医へ相談しましょう。
運動も大切です。忙しい中でも自分のライフスタイルに合わせて、どう気を付ければいいのか、医師・看護師・栄養士と一緒に考えていきましょう。『症状がないから大丈夫』ではなく、なるべく早く、腎臓の悪化に気づき生活習慣を見直すことで、確実に透析や腎臓移植が必要になる道を避けることができます。一緒に腎臓を守っていきましょう。

文責:透析室看護師 慢性腎臓病療養指導看護師 鏡あい子

なぜフットケアが必要なの?

糖尿病や透析治療を受けている患者さんの足は、足の冷え・しびれ・痛みなどの症状や潰瘍が出来やすい状況になっています。その原因は、動脈硬化や末梢血管障害のために血液の循環が悪くなるからです。また、神経障害により足の感覚が鈍くなっている事もあります。そのため、足に傷ができても気が付かず、悪化した状態で発見されることもあります。そこで、足の症状の早期発見・早期治療が大切です。
当院透析室では、足の観察フットケアに力を入れています。

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主な足病変について

1.胼胝、鶏眼:胼胝は「たこ」、鶏眼は「うおのめ」です。特定の部位に圧力や摩擦が加わる
 ことで起こります。足に合わない靴を履くことでも形成されます。
2.足白癬、爪白癬:白癬は「みずむし」です。足白癬は足底、指の間などに起こります。
 爪白癬は「爪のみずむし」です。皮膚に感染した白癬菌が長い間放置され、爪にまで病変が広がったものです。
3.巻爪、陥入爪、肥厚爪:爪が内側に湾曲しており、炎症を伴っていないものを巻爪といいま
 す。爪が皮膚に食い込み、皮膚が炎症をしているものを陥入爪と言います。肥厚爪は、白癬
 によるものや何らかの要因で、正常な生え方をしなかった時に起こります。
4.乾燥、亀裂、角化:自律神経障害から生じる発汗異常に伴う乾燥、加齢に伴う乾燥などがあ
 ります。角化とは、角質層の肥厚、増殖、形成異常のことです。乾燥に角化が加わると、特
 にかかとに亀裂を生じやすくなります。

足の健康を保つために気を付けたいこと

1. 毎日足を観察しましょう
 足の異常は、早く見つけることが大切です。お風呂上りなど、足を見たり触ったりしましょ
 う。見えないときは、家族の方に協力してもらう事をお勧めします。
2. 足を清潔に保ちましょう
 毎日、足を洗ってください。水分は、良くふき取り、乾燥しているときには保湿クリームを
 塗りましょう。傷から足を守るために、靴下を履いて下さい。
3. 爪は切り過ぎないようにしましょう
 深爪には注意をし、爪の角を切り落とすと、巻き爪になりやすいので気を付けましょう。
4. 足に合った靴を選びましょう

文責:透析室看護師 フットケア指導士 東海林美紀

腎臓リハビリテーションを頑張っています!

腎臓リハビリテーションは予防と治療を兼ねて行う食事療法、薬物療法、運動療法の包括的なリハビリテーションで、①長期的にみて腎機能をできるだけ保護する、②今後、起こりうる可能性の高い合併症を予防する、③生活の質(QOL)を出来るだけ下げないようにすることを目的に、生活習慣を見直していく事を言います。
当院では、医師を中心に理学療法士、看護師、管理栄養士、薬剤師など、多職種で連携して、個人に合わせた栄養指導や服薬指導、運動療法指導を行なっています。
運動療法は、看護師や理学療法士が筋力や体力を評価し、どんな運動をどの程度行うか運動処方を行います。安全性を確認するために、実際にリハビリ訓練室や透析中の床上でエアロバイクなどの有酸素運動や筋力訓練を監視下で行う事から始めます。(写真)徐々に自宅で自主的に行う非監視下の運動療法に移行していきます。
腎臓リハビリテーションは「継続」することで効果が現れる治療法です。当院では病気と向き合い、しっかり栄養を摂り、きちんと薬を飲んで、活動的な生活が送れるように多職種でサポートしています。

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文責:リハビリテーション部係長 心臓リハビリテーション指導士 丸子扶美枝

参考文献:透析ハンドブック、腎臓が気になりはじめたら・石塚ファミリークリニック、糖尿病フットケアまるわかりガイド、フットケアと足病変治療ガイドブック、はじめてのフットケア、特集2 腎臓病 腎不全 早期発見から治療まで ー全日本民医連都道府県別の肥満及び主な生活習慣の状況

2020.11.27

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