健康コラム

第44話 「運動の話 コアコンディショニングについて」

1.はじめに

最近では、多くの方が、健康づくりを「目標」に運動に取り組んでいます。しかし、運動で求める具体的な「目的」は、やせたい・腰痛解消など、皆さんそれぞれ違います。
では、自分の「目的」を達成する為には、どんな運動を、どれくらいすれば良いか、わかりますか?

このように改めて質問されると、なかなか答えられないのではないでしょうか。そんな運動を、安全で効果的に行えるように、適切な運動プログラムを作成して、指導と管理を行うのが、私「健康運動指導士」の仕事です。

医療が日進月歩するのと同じように、運動も日々進歩し、様々な考え方や方法があります。今回の健康百話で、「自分の体・姿勢」について、少しでも興味を持ったり、目を向けていただけたら嬉しいです。


2.コアコンディショニングとは

「コアコンディショニング」とは、私たちに、一生かかり続ける力「重力」に体をうまく適合させ、効率のよい動きを獲得する為に、姿勢や動きの要であるコア(体幹)の機能を「ヒトの発育発達の過程(図1)」に沿って再学習していくプログラムです。
これは、成長の過程で、誰もが一度は自然にたどる、ヒトの発育発達をもとにした理にかなった運動で、自分自身で体を整えていく「セルフコンディショニング」です。


3.ヒトの発育発達過程は、人類の進化そのもの!?

「人が立って歩くことって、スゴイ事なんです!!」と言われても、ピンとこないと思います。それは、「スゴイ事」がヒトとして、できて当たり前の、基本機能である「直立二足歩行」だからです。

人類の進化と赤ちゃんの発育発達の過程を少しお話します。

人類は、脊椎動物としての基礎を水中で獲得しました。やがて陸に上陸し、約3億7千975万年の時間をかけて、ヒトとしての基本機能である「直立二足歩行」を獲得しました。それが、最初の人類「ホモ・サピエンス」です。

赤ちゃんは、人類が脊椎動物として進化してきた過程を、お母さんのお腹の中にいる十月十日(とつきとうか)で再現し、「産声」を上げてから約1年で、重力環境下で基本機能を獲得するまでの過程(約3億7千975万年)を再現していきます(図1)。
これらの過程は、誰かに教わることもなく、必要な時期に必要なタイミングで運動学習していくように遺伝子に組み込まれています(図2)。


4.コアコンディショニングの必要性

私たちの体は、骨格・筋肉・循環器・呼吸器・消化器・脳までも全て、「直立二足歩行」を行うのに、最適な形にデザインされました。そして、「直立二足歩行」により、脳が発達し、文明を築いてきました。

しかし、近年は、その文明の発展により、生活が便利になりすぎて、運動量の低下や急激な姿勢変化が、最適な形にデザインされた体に、気付かないうちに負担を掛けています。その結果、基本機能も低下し、様々な不定愁訴を生み出しています。これは、老若男女問わず、現代社会に生きる全ての「人」に共通して言えることです。

図3のように「土壌」となる生活環境は、なかなか変えられません。そこで、どんな「土壌」でも、しっかりした「根」をはることが大切です。だからこそ、もう一度、基本機能を取り戻す為に、子供も大人も、遺伝子に組み込まれているヒトの発育発達の過程に沿って再学習していくプログラム「コアコンディショニング」が必要なのです!

図3の引用先 一般財団法人日本コアコンディショニング協会


5.コアコンディショニングでは、どんな運動をするの?

3つのステップにわけて、運動を考えていきます。それぞれのステップのねらいが互いに繋がり、場合によっては重なり合いながらピラミッド(図4)を形成します。今回は、この3つのステップを簡単に説明します。

※ステップ毎に、パッケージ化された運動もありますが、紙面の関係上、割愛させていただき
 ます。

①「コアスタビライゼーション」...「筋肉の働き」で姿勢を安定・調整する仕組みづくり

発育発達の過程で言うと、赤ちゃんがお母さんのお腹にいる状態で、重力をあまり受けず、リラックスしているときを再現します。
図5・図6のように、ストレッチポールという道具を使ったりして、緊張している筋肉を緩めて、胎児の背骨のようなCカーブに近づけ、アライメント(骨組み)を整えていくステップです。

図5の引用先
一般社団法人日本コアコンディショニング
協会ソラコンレキスト引用

図6の引用先
一般社団法人日本コアコンディショニング
協会ペルコンレキスト引用

②「コアスタビライゼーション」...「筋肉の働き」で姿勢を安定・調整する仕組みづくり

    発育発達の過程で言うと、赤ちゃんが「泣く」ことで、インナーユニット:腹腔内圧を保つ筋(図7)を使っている状態と、「首がすわる」ことで、正中軸や正中感覚(背骨が体の中心と認識すること)を獲得し、体を安定させ、使いやすくしていく過程を再現します。

    「泣く」とは、たくさん息を吸い、力いっぱい泣きながら息を吐き出す呼吸運動です。その呼吸運動を意識的に行い、インナーユニットをしっかり働かせながら、背骨を適切なSカーブ(発育発達の過程で頚椎と腰椎に前弯ができる)で保ち、重力や四肢の動きに対しても姿勢を静的に安定させるコア(体幹)の機能を再学習していくステップです。


図7の引用先
一般社団法人日本コアコンディショニング協会

③「コアコーディネーション」...「神経系の働き」で姿勢を安定・調整する仕組みづくり

発育発達の過程で言うと、赤ちゃんが、「寝返り」から「立つ」「歩く」までの過程を再現します。赤ちゃんは、ドリル学習をするように、今できる最大限の機能を繰り返し使い、運動学習によって次の機能を獲得していきます。

「コアスタビライゼーション」の姿勢を静的に安定させる機能をもとに、「コアコーディネーション」は、どんな状態(姿勢変化・重心移動・反射・反応など)でも、背骨と肩甲骨・骨盤の動きの連動を意識しながら、全身とコア(体幹)をうまくコントロールできるように再学習していくステップです。

どのステップの運動も、自分の体に目を向け「意識」や「感覚」そして、「体感」を大切しながら、運動をすすめ、体を整えていきます。


6.まとめ

人が、立って歩いて、そして、生活している事を、「スゴイ!」と思えましたか?
体は、日々、いろんな「姿勢」で、重力を受け止めながら頑張っています。それが、今の体であり、姿勢です。
自分の体に目を向け、姿勢を考える事は、今の自分をいたわり、将来・未来の自分を育てることに繋がっていくと思います。

カタカナや漢字も多い紹介になってしまいましたが、「コアコンディショニング」の考え方が、皆さんの「これから」の為に、何かのお役に立つ事ができたら幸いです。

最後に、健康増進センターめぐみには、皆さんの健康づくりをサポートする健康運動指導士が13名います。いつでも館内は見学できますので、興味のある方は、お気軽にいらしてください。お待ちしております!!


参考・引用資料

発育発達からひも解くコア セミナーテキスト  日本コアコンディショニング協会
コアスタビライゼーション セミナーテキスト  日本コアコンディショニング協会
コアコーディネーション  セミナーテキスト  日本コアコンディショニング協会
Core Conditioning Journal  発行:日本コアコンディショニング協会


伊藤 貢(いとう みつぐ)

昭和60年生まれ
出 身 地  山形県西川町
最終学歴 山形大学教育学部卒業
職  歴 平成18年8月 済生会山形済生病院入職
現  職 健康増進センターめぐみ 健康運動指導士
資  格 健康運動指導士
     日本コアコンディショニング協会
     認定マスタートレーナー
     日本ノルディックフィットネス協会
     公認ベーシックインストラクター

2019.05.30

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