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特発性大腿骨頭壊死症について

どんな病気?

大腿骨頭に壊死をきたす疾患で、大腿骨頚部骨折や股関節脱臼などの外傷に伴う外傷性大腿骨頭壊死症と、原因がわかっていない特発性大腿骨頭壊死症の二つに大別されます。特発性大腿骨頭壊死については厚生労働省が定める難病に指定されております。

これまでの研究から特発性大腿骨頭壊死症のリスク因子としてアルコール習慣摂取、ステロイド剤の全身投与(内服あるいは点滴)が挙げられておりますが、いずれにも該当しない患者様がいらっしゃることも分かっています。

疫学としては2015年の全国受療者数が23100人とされ、毎年2000人前後が新患として登録されています。ステロイド全身投与歴のある方が55%、習慣飲酒歴のある方が43%とされ、男女比は13:10、発症年齢は男性が40歳代、女性では30歳と60歳にピークがあると報告されています。

大腿骨頭だけでなく、上腕骨頭や、膝など他部位の骨にも骨壊死を生じることがわかっています。診断には単純X線やMRI、骨シンチグラムが用いられますが、初期段階ではMRIが最も信頼性が高いとされています。

各種検査

左大腿骨頭壊死(X線)

左大腿骨頭壊死(CT)

左大腿骨頭壊死(MRI)

予後

壊死骨は拡大や消退することはないとされ、壊死骨の位置が荷重部から離れていれば無症状で経過することが期待されますが、荷重部に位置し範囲が大きい場合には経時的に骨頭圧潰をきたし、変形性股関節症へ移行していくことが分かっています。

痛みを生じる場合には後者に該当している可能性が高いので、早めに専門施設に受診すべきです。

治療法

症状がある場合には基本的には手術が選択されます。

手術法は壊死を免れた健常部を荷重部に移動させる骨頭温存術(骨切り術)と壊死部を人工物に置換する人工股関節(症例により人工骨頭置換術)の2つに大別されます。

骨切りの適応は年齢が50歳以下であることが目安となりますが、健常部が十分に残っているかが重要ですので、担当医にご確認ください。骨切りの対象とならない場合には、現在は人工股関節全置換術が標準的な治療法となります。

当院では人工股関節はもちろんのこと、骨頭温存手術にも対応しており、患者様の状態に応じた適切な治療を提供します。

大腿骨頭回転骨切術

大腿骨頭前方回転骨切り術(術前)

大腿骨頭前方回転骨切り術(術後)

大腿骨頭後方回転骨切り術(術前)

大腿骨頭後方回転骨切り術(術後)