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変形性股関節症について

変形性股関節症とは?

変形性股関節症は股関節の軟骨が変性、摩耗し、関節機能が損なわれていく疾患です。
原因となる疾患として後述される寛骨臼形成不全、大腿骨頭壊死症、関節リウマチなどがあります。
多くの場合、不快な痛みを伴います。日本人における有病率は約3.5%とされ、女性に圧倒的に多い疾患とされています。

発症年齢は平均50歳前後とされていますが、寛骨臼形成不全の程度によっては10代から発症することもあります。
日本人の変形性股関節症の原因は股関節の上半分にあたる寛骨臼の「つくり」が浅いという寛骨臼形成不全が全体の8割を占めるとされており、赤ちゃんの時に股関節が脱臼していた「乳児股関節脱臼症」の既往がある人に多くみられますが、寛骨臼形成不全全体でみると乳児股関節脱臼の既往のない人のほうが多いといわれています。

変形性股関節症は関節軟骨の状態に応じて、前股関節症、初期、進行期、末期の4つに分けられ、軟骨の再生能力が低いために基本的には経年的に進行していく疾患です。
治療は保存療法と手術療法に大きくわけられ、保存療法の効果が期待されない方が手術療法の対象となります。

【保存療法】

体重のコントロール、可動域(股関節の動く範囲)の拡大、股関節周囲筋のストレッチ、筋力強化、生活指導(負担の軽減)が柱となります。
また、ジグリング(貧乏揺すり)が関節軟骨の修復や痛みの軽減に有効とされています。
当科で作成するパンフレット、あるいはリハビリの療法士から指導してもらって、継続的に行うことが重要です。
当院併設の「健康増進センターめぐみ」では、変形性股関節症の患者様向けの教室を開設しております。

【手術療法】

大きく、関節温存手術(骨切り)と人工股関節全置換術の二つに分けられ、骨切りには寛骨臼の有効面積を拡大する寛骨臼回転骨切りやChiari(キアリ)骨盤骨切り、棚形成術、関節の適合性を改善する大腿骨外反骨切りや内反骨切りがあります。
若年者で軟骨変性の軽度な患者様には骨切りを、高齢者で末期に至った患者様が人工関節の対象となりますが、患者様の股関節の状態は個々に異なりますので、手術法の利点と欠点をふまえた上で患者様と相談して、適切な治療法を検討します。

寛骨臼回転骨切り術(術前)

寛骨臼回転骨切り術(術後)

Chiari骨盤骨切り+大腿骨外反骨切り(術前)

Chiari骨盤骨切り+大腿骨外反骨切り(術後)