当科における下肢末梢動脈疾患に関する臨床研究・論文

臨床研究

「下肢運動負荷装置を用いた血圧脈派検査による末梢動脈疾患に関する疫学研究」

当科では2013年から、兵庫医科大学・環境予防医学講座(若林一郎教授)の御指導のもとに下肢末梢動脈疾患に関する疫学研究を継続して行っています。以下に同研究の目的と方法、これまでの研究の結果についてご紹介させていただきます。

研究の目的

人口の高齢化や糖尿病有病率の上昇に伴い、下肢末梢動脈疾患(下肢閉塞性動脈硬化症)の有病率は上昇の一途をたどっています。また、食生活を含む生活環境の変化や基礎疾患の多様性により下肢末梢動脈疾患の病態は変化し、近年では高度な石灰化病変やより末梢側(下腿病変)などの重症な症例が急増しています。さらに下肢末梢動脈疾患では、無症状の症例が有症状症例の3~4倍ほど存在すると考えられており、自覚症状のみに頼った診断では、無症候性症例の診断は困難であると考えられます。

また症候性の下肢末梢動脈疾患症例では、下肢運動負荷(トレッドミル歩行)前後での血圧の変化により下肢虚血の重症度評価がなされます。

本研究では新たな下肢運動負荷装置を用いて、運動負荷前後での血圧脈波検査を実施することにより下肢末梢動脈疾患の重症度を評価するとともに、血液検査や頚動脈エコー検査あるいは生活習慣要因(喫煙習慣、飲酒習慣)から導き出された動脈硬化性疾患の危険因子と下肢虚血の重症度との関連性について検討しています。

本研究は、下肢末梢動脈疾患症例を対象として、その重症度に影響を及ぼす危険因子を特定することにより下肢血行再建前後における生活習慣の改善やリスクコントロールの指針に寄与することを目的としています。

研究方法の概略
対象

2014年4月から現在も継続しています。
これまでに約150名の患者様にご協力を賜りました。

方法

血管生理検査(下肢動脈エコー、頚動脈エコー)
下肢運動負荷前後での血圧脈派検査(トレッドミル歩行・足底背屈運動)
血液検査
その他(胸部レントゲン検査、心電図)

血圧脈派検査
下腿に限局した運動負荷装置
結果

①下肢末梢動脈疾患の重症度に対して血中尿酸値の上昇が深く関与している。
②下肢末梢動脈疾患の重症度と動脈硬化のリスクに関する生活習慣因子(喫煙・飲酒)の影響

これまでの研究結果・論文
  1. Sotoda Y, Hirooka S, Orita H, Wakabayashi I. Association of Serum Uric Acid
    Levels with Leg Ischemia in Patients with Peripheral Arterial Disease after
    Treatment. J Atheroscler Thromb. 2017 Jul 1;24(7):725-734.
  2. 外田洋孝、廣岡茂樹、折田博之、若林一郎
    「下肢末梢動脈疾患患者の飲酒・喫煙状況および動脈硬化のリスクに関する検討」
    アルコールと医学生物学 Vol.35, 34-42. 2016
  3. Wakabayashi I, Sotoda Y, Hirooka S, Orita H. Association between
    cardiometabolic index and atherosclerotic progression in patients with peripheral
    arterial disease. Clin Chim Acta. 2015 Jun 15;446:231-6.

(2) その他の下肢末梢動脈疾患に関する論文・著書

  1. 外田洋孝、廣岡茂樹、折田博之、若林一郎
    「喫煙と下肢末梢動脈疾患に関する最近の知見」
    日本衛生学雑誌 Vol.70, No.3, September; 211-219. 2015
  2. Wakabayashi I, Sotoda Y. [Alcohol drinking and peripheral arterial disease of
    lower extremity]. Nihon Arukoru Yakubutsu Igakkai Zasshi. 2014 Feb;49(1):13-27.
    Review. Japanese. PubMed PMID: 24818355.
  3. Sotoda Y. Wakabayashi I. Interdisciplinary Concepts in Cardiovascular Health. Volume III: cardiovascular Events. Chapter 6. Peripheral arterial disease; 115-145.
  4. Sotoda Y, Negoro M, Wakabayashi I. Involvement of decreased myo-inositol
    transport in lipopolysaccharide-induced depression of phosphoinositide hydrolysis
    in vascular smooth muscle. FEBS Lett. 2002 May 22;519(1-3):227-30.
  5. Sotoda Y, Shimazaki Y, Wakabayashi I. Nitric oxide-dependent and -independent
    inhibition by lipopolysaccharide of phosphoinositide hydrolysis in vascular
    smooth muscle. Life Sci. 2001 Nov 2;69(24):2845-54. PubMed PMID: 11720088.

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